公益社団法人諏訪圏青年会議所 理事長所信

公益社団法人 諏訪圏青年会議所
2017年度 理事長  岩崎 宥全

はじめに

 私たちのふるさと諏訪圏は魅力あふれる地域です。美しい湖、壮麗な山々、悠久の歴史、匠の技術を擁する産業、大自然の恵みを宿した作物、心休まる出湯、個性あふれる人々。その魅力は枚挙にいとまありません。そして、このような魅力すべてが交じり合い、互いに共鳴し合い私たちの愛するふるさとを形作っています。私たちの愛するふるさとには、区別や境などもありません。ふるさとはひとつなのです。
公益社団法人諏訪圏青年会議所は岡谷・下諏訪・諏訪・茅野・原・富士見の6つの市町村からなるこの諏訪圏を共通のふるさとと認識し、集結した青年で構成されています。
 私たちの運動の根底には必ず「諏訪はひとつ」という揺るぎない想いがあります。諏訪圏青年会議所は創立当初よりこの想いのもと、青年会議所運動を展開してきました。5周年には「三誓」を打ち出し、10周年には今後10年間の諏訪圏青年会議所の運動の道標となる「2010年代運動指針」を策定しました。そして、15周年を迎えこれからの行動の根幹となる「行動指針」を発表しました。
 2017年度は、いよいよ2010年代のまとめに入る時期と考えます。次の10年の運動展開のためにも、今まで私たちが創り上げてきた運動を学びなおし、この先の2020年代の時代に則した青年会議所運動のバトンを用意しなければならないと考えます。日々変化する時代の中で、今、時代はさらに大きく変化しています。私たちのふるさとも大きな変革をする時期であり、時代の変化に適切に対応していかなければなりません。そんな時代だからこそ、私たち諏訪圏青年会議所の運動・活動がこの圏域の道標となり、未来を照らす光明となり得るのだと信じています。この変革の大波に対応し、先人が創り繋げてきたこのふるさとをより良い形で未来へ繋げられるよう、弛まぬ努力を続ける責任があるのです。
 時代は進みます。何もしなくても、何かをやり残しても時間は過ぎていきます。今できる最善の方策をもって、最大の効果をもたらすように、英知と勇気と情熱、そして何より気概を持ち、ふるさとの未来を創造していきます。

~青年会議所の灯火を掲げ続けるために~

 

 わが国日本は、未だ経験したことのない人口減少社会へと突入しています。そのため、私たちの活動年齢である20歳~40歳の青年も減少の一途をたどっています。また、自分本位の暮らしのために、地域社会に関わろうとしない若者や、今の楽しみを優先し、ふるさとの未来に無関心な若者が増加している現在、青年会議所会員の拡大はより一層の厳しさを増していると感じます。
 諏訪圏青年会議所は、6市町村を共通のふるさととして行政の垣根を超えた運動を展開しています。この広いエリアにおいて、自らの想いを伝え実現させるための活動には、多くのメンバーが必要不可欠となります。そして、私たちは次世代の夢ある住み良いふるさとの創造ができる唯一無二の存在であり、私たちの運動こそが来るべき未来の先駆けになると信じています。そのためにも、行動を共にする同志を募り、想いと運動を未来に繋げる必要があります。愛するふるさとに熱い想いと高い志を持ち、それを同年代の若者へと伝播させるエネルギーを持っていなければ、私たちの想いに共感を得る事は難しいと考えます。メンバー一人ひとりがふるさとの未来を担う若者であるという気概を持って、未来を熱く語り、想いを言葉と行動にのせて、志を同じくする青年を募り、諏訪圏青年会議所の運動を未来へと繋げていきたいと考えます。
 魅力的な、そして、このふるさとに必要とされる組織には必ず人が集まります。会員拡大こそが組織の根幹であり、会員数は諏訪圏青年会議所がいかに魅力的かという指標になると考えます。メンバーが一丸となりこれに取り組んでまいります。そして私たちの想いが多くの若者へと伝播し、一人ひとりがふるさとの光明となり、その光がこの諏訪圏域に満ちた時、私たちの思い描く未来がそこにあると確信しております。

~未来を切り開く事の出来る人財~

 近年、「利他」という言葉をよく耳にします。これは他を利する、他者の幸せを願う行動のことを言います。その「利他」を行うためには、自らが利他を行える知識・環境がなければなりません。まず自らが学び、自らの環境を整える必要があります。こういったことを「自利」といい、本来「自利・利他」は一体なものなのです。「利他」の精神をもってふるさとに貢献するためには、まず「自利」の精神に基づき自分を高める必要があるのです。
 私たちが身近に行える「利他」の行動は、自社の経済活動から地域経済への貢献であると考えます。それをおろそかにして、他への活動に「利他」の精神をもって参加したとしても、自らの基盤もないままに本当に「利他」の活動が行えるとは考えられません。私たちは青年経済人の団体でもあります。その基盤である自社の未来を切り開き、自分の足元を固める学びの場を創り、自らが地域のために「利他」の精神をもって活動できる知識を持ち、環境を整える力を養います。
 近年の産業形態は多角化し、その変化のスピードは加速しています。TPPやインバウンド政策などによる経済のグローバル化が進む中、自らが時代のスピードに合わせ変化していかなければ自社の営業規模の縮小を招き、それはやがて、ふるさとの経済停滞という悪循環にも繋がっていく可能性を秘めています。だからこそ、その変化に柔軟に対応でき得る情報と知識を身に付け、個の能力を向上させると共に、今持てる自らの価値を最大限に活かすことが求められています。さらにその価値観だけに縛られず、協力・連携・提携といった他者との協働の中から新たな価値を創造し、これから進むべき道筋を切り開く事のできる人財を育成しなければなりません。個の能力を磨き、組織としての価値を向上させることが、次の時代へ向かう新たな価値の創造に繋がるものと考えます。
 自社や地域を良くするために学び、地域社会への貢献からふるさとが発展し、その恩恵をまた自らが享受する。「利他」のための「自利」、即ち「自利」のための「利他」に他なりません。「物の興廃は必ず人に由る 人の昇沈は定めて道に在り」これは、弘法大師が残された言葉です。私たちの愛するふるさとの未来も私たちが何を学びどう成長するのかにかかっています。

~「ありがとう」の心を伝える~

 「有り難い」この言葉は「あることがむずかしい」「めったにない」ことを指す言葉です。私たちが感謝の意を伝える時に発する「ありがとう」は、「有り難い」から転じた言葉といわれています。普段、何気なく生活していると私たちの身の周りのことが当たり前になり、そこにある幸せに気づかなくなります。温かいご飯を食べられること、住む家があること、学校に行けること、そしてこの世に生を受けたこと。生まれた時よりこの状況が当たり前として育った子供達にとって、こうした本来の幸せに気づくことが、人生を豊かに過ごしていくことに繋がるのではないでしょうか。「有り難い」ことを当然として過ごすのではなく、そこにある幸せに気づき感謝の心を持って、素直に「ありがとう」と伝えられる人間に成長して欲しいと願います。
 「ありがとう」の心はまず「ひと」を思いやること、「ひと」を尊重し認め合うことから始まります。「ひと」との真剣な関わりの中からその想いを感じ、その心を汲み取り、相手の立場になって想いを巡らすことにより、今自分の置かれている状況は必ず誰かが影となり影響を与えてくれていることに気づくことができます。その「有り難い」状況に感謝の心を持つことにより、他を慮ることのできる人間へと成長し、その感謝の心は大切な自らの「いのち」を輝かせ精一杯生きていくことに繋がるものと信じています。そして、「ありがとう」と伝えられた「ひと」も、相手のために役に立てたことを実感することで自らの行動に自信を持つことができ、より積極的に「ひと」を思いやる行動のできる人間へと成長できます。
 「ありがとう」の心は、古来より日本人の心の根底を成す価値観のひとつでもあり、次世代を担う若者へと伝えることにより「ひと」としてのあるべき姿を未来へと繋げ、「利他の精神」「他を慮る道徳心」をもって、愛するふるさとの未来を担う人間へと成長して欲しいと思います。

~ふるさとに誇りと愛着を持つ~

 現在、地域間競争は激化の一途をたどり並列的で他との差別化ができない地域は、魅力多い独自性の強い地域の中に埋没してしまっています。そのような時代において私たちのふるさと諏訪圏は魅力多き地域であり、またその魅力は多様性をみせる素晴らしいものであります。しかし、その魅力を十分に活かしきれておらず、同じような魅力をもつ地域との競争の中から抜け出すことができていない現状があります。
 私たちのふるさとの魅力は大自然や産業などに代表される「目に見える魅力」も多くありますが、それだけではありません。この諏訪圏は古代の書物「古事記」「和名抄」などにも登場する壮大な歴史を背景に持つ日本有数の地域であります。そして、諏訪の信仰、時代を動かした人物との関わり、明治時代の製糸業より続く産業の礎など、様々な時代においてこの国に多くの影響を生み出し続けたその歴史や文化は、諏訪の「ひと」の誇りとなり「目に見えない魅力」としてこの地に脈々と受け継がれています。
 これまで諏訪圏青年会議所はふるさとの様々な魅力を使い、多くの事業を展開してきました。本年は私たちが生み出し展開した事業を礎としながら進化させ、ふるさとに存在する多くの「目に見える魅力」と「目に見えない魅力」を融合させたまちづくりを進め、今ある魅力を活かしつつ、それらの魅力に磨きをかけ、他にはない「独自性のある諏訪圏」の形成を目指してまいります。また、住民にこの魅力を伝えることで、より一層ふるさとに誇りと愛着を持ち、心からこのまちを好きになっていただくことができると信じます。そして、この魅力を諏訪圏域内だけに留まらせるのではなく、積極的に域外へと伝播させていくことで、「諏訪圏らしい魅力」のひとつとして認知されることに繋がり、域内、域外の相乗効果が期待できると考えます。
 「独自性のある諏訪圏」の魅力をもってまちづくりを行うことにより、ふるさとの未来像を描き、それを多くの住民と共有することで様々な色の魅力で満たされた諏訪圏域が一つの大きな魅力の集積地として「諏訪はひとつ」となり地域間競争に立ち向かい、愛するふるさとの未来を創ってまいります。

~地域のきずな~

 私たちは「諏訪はひとつ」という広域的な視点を持ち活動する一方、身近な単位でもある行政区にも目を向け、地域に根差した活動も引き続き行ってまいります。諏訪圏青年会議所は岡谷・茅野・諏訪・下諏訪の青年会議所が合併して誕生しましたが、その個々の青年会議所が存在した時代から各々の地域の課題に取り組み、その活動が現在でも連綿と受け継がれています。これらの活動を真摯に取り組むことにより、自らが暮す地域の活性化への貢献を続けてまいります。そして、各行政との協力関係を継続させ、多くの市民諮問機関などへの参画を引き続き行ってまいります。
 私たちが目指す理想のふるさとは広域と地域が両輪となってこそ輝くものだと確信しております。だからこそ、私たちの運動を進める意義がそこに存在すると考えます。地域から広域へと、また広域から地域へと、双方向の活動に邁進し、その相乗効果により諏訪圏域に一体感を広げ、多くの人にとって諏訪圏域が共通のふるさとと認識できる活動を行ってまいります。地域の特色を磨き、それを圏域という視点で集束させ、様々な色を持つ輝きをもってふるさとを彩っていきます。

~着実な広報活動と魅力的な組織~

 私たちは崇高な理想を掲げ、愛するふるさとのために多くの事業を行っています。そのために、理想に近づくための英知、自らが行動する勇気、ふるさとに対する情熱、未来を創るという気概をもって真剣にこの圏域の明日を明るく照らせるように努力を重ねています。
 しかし、どんなに真剣に活動してもふるさとの住民に伝わらなければ何の効果も生み出しません。様々な情報で溢れている現在、人々の心に残るような情報の提供をしなければ、多くの情報に埋もれ、届けたい方へ伝わらず見過ごされてしまいます。また、その情報の伝達方法も多様化し、どの伝達方法を用いるかによっても情報が届く方は限られてしまいます。そのような中、今持てるマスコミュニケーション、ソーシャルネットワークサービスなどの様々な情報伝達を適正に行い、多くの方へ私たちの情報が伝わるように努めてまいります。
 まず事業を知り、興味を持ってもらい、事業へ参加していただくことで、参加者に私たちの想いを伝え、参加から参画に変わり、住民参画型のまちづくりや未来を担う子供たちの育成、ふるさとの未来を切り開く人財の育成へと繋がると考えます。広報という第一歩目の取り組みをしっかりと行い、多くの方に私たちの運動・活動を伝え、想いを伝えてまいります。
 また、私たちの運動・活動は言うまでもなくメンバー一人ひとりの取り組みによるものであります。私たちの組織の基本は「ひと」です。その「ひと」が生き生きと輝いて活動できる組織でなければ、組織としての魅力も衰えてしまいます。魅力ある組織だからこそ各事業が魅力的なものになり、多くの「ひと」を引き付けることができると考えます。メンバーが輝いて活動できる組織力の強化を行い、それぞれの個性を十分に発揮し、役割を果たすことで、より良い組織づくりに繋がると考えます。

~最大の効果をあげる~

 組織には必ず「縁の下の力持ち」といえる活動を行う部署があります。その活動なしには理想を実現するための事業を行うことすらできません。多くの活動の影となり、屋台骨をしっかりと支える取り組みを着実に遂行することができてこそ、私たちは地に足がついた活動を行うことができると考えます。この部分を蔑ろにしては持続可能な運動・活動を続けることは難しいでしょう。諏訪圏青年会議所の各活動が最大の効果をあげられるように組織運営を着実に、そして誠実に行ってまいります。
 諏訪圏青年会議所はこの圏域の未来の礎を築く事業を行う事こそが使命であり、私たちの存在意義であると考えます。そして、私たちの活動はその多くを自らの会費で賄っております。しかし、メンバーの減少は収入の減少となり、事業規模の縮小を招きます。そのために、費用対効果を熟慮し、適切で効果的な予算編成と予算準拠・事業準拠のバランスを考えながら最大の効果をあげる各事業予算の執行を行います。また、青年会議所の常識が社会の非常識とならないように、社会通念に則した予算・決算、それに伴う各種資料の準備を行います。さらに、コンプライアンスにも十分配慮し、公益法人として適切な会計処理を行ってまいります。

~私たちの「たから」「ちから」「これから」~

 諏訪圏青年会議所は、その歩みを進めて17年目となります。それ以前にもこの諏訪圏域には岡谷・茅野・諏訪・下諏訪といった青年会議所が存在し、私たちの今を築いてこられた先輩がこの圏域で多く活躍されています。これらの歴史や繋がりは私たちの「たから」であり「ちから」であると感じています。
 しかし、永年の歩みの中でその繋がりを上手く活かせていないのも現実です。新しいものを生み出し進んできた私たちですが、時には来た道を振り返ることで今までの歴史に想いを馳せ、諏訪圏青年会議所の創始の想いや目指すべき目標を今一度メンバー全員で確認し、同じ方向を向いて活動していくことが必要であると考えます。そして、私たちの「たから」であり「ちから」となっていただける多くの繋がりを活かしていくために、先輩と共に語り合う時間を創り、今までの運動・活動を学び、現状に留まることなく未来への新たな一歩を踏み出してまいります。
 こうした繋がりを大切に活かしていくことで、諏訪圏青年会議所は年を重ねるごとに「たから」と「ちから」をより輝きの増すものにし、その蓄積により「これから」の運動・活動の礎としていきます。
 また、全国的にも大きな地震が多発しており、この圏域も大きな地震予測がされています。さらに、温暖化による異常気象も観測され、大雨による洪水や土砂災害の危険性が高まっています。現在は災害がいつ起きてもおかしくない状況下にあります。そのため、本年も災害協定を締結している団体との繋がりを活かし、引き続き協力体制を維持し、いついかなる時にでも対応できる環境を整えます。

~「過去」「現在」そして「未来」へ~

 今は過去の歩んできた結果であり、未来は今の積み重ねであると思います。今、こうして私たちのふるさとが私たちにとって愛すべきものであり、誇りに想えるのも過去の今を積み重ねてきた多くの方の努力の上にあります。そして、この先の諏訪圏の未来を創るのはこの瞬間の今を生きる私たちに他なりません。今、私たちが努力することにより未来のふるさとが少しでも良くなるのであるならば、そして、未来を生きる者にふるさとを今以上に誇りと愛着を持って繋げることができるのであれば、私たちはその歩みを止めるわけにはいきません。誰かがやる、誰かに任せるのではなく、今を生きる私たち一人ひとりが未来を創るという気概と情熱を持ち続けなくてはなりません。何もしなければ何も生み出しません。何かを行うことで、何かが変わります。私たちは変革の能動者でなければなりません。それが青年の使命なのです。

「継往開来」(けいおうかいらい)  ~我、ふるさとの礎とならん~

 「過去」からの絶えまぬ歩みを継承し、この先の「未来」を切り開くための「今」を共に歩んでいきましょう。愛する誰かのために「今」を生き、「今」を重ね「未来」を開き「未来」を託していこうではありませんか。「未来」は僕らの手の中にあります。

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